ラチャニードンチャイ氏
タイ国福祉分野 国家最優秀者 タイの子供財団 校長 ラチャニー・ドンチャイ氏
ラチャニー先生との出会いは、当サービス開始よりも前、当社の代表が、個人的にタイの孤児院を廻っていた頃までさかのぼります。
タイで最大規模の子供を支える財団法人、どんな子ども達が暮らしているのか、子ども達をどうやって育てているのか、毎回ワクワクしながら訪問していたものです。
先生とお会いできたのは5回目の訪問だったかと思います。
先生から幼児教育の重要性をたくさん教えて頂き、先生やスタッフが愛情いっぱいに子ども達と接する姿に感銘しました。
私たちも日本で子供を支える財団を設立したいお話をし、協力団体として活動することになりました。
今では発達障害児の知育教育に効果がある、センソリーインテグレーション教育を協働で推進し、更には世界に向けて普及する活動を行っています。
いつもは教育のお話しですが、今回はタイに来る日本人に向けてのお話を伺いました。
ラチャニー・ドンチャイ氏
ラチャニー・ドンチャイ氏インタビュー
日本人はタイが好きで、旅行、移住、ビジネスと、多くの人が訪れています。
先生のお薦めの場所はどこですか?
日本人が仕事をするにはバンコクがいいのでしょうが、私はタイの自然をもっと見てもらいたいです。
移住や観光ならタイ北部の山岳地帯、チェンマイやチェンライがお薦めですね。
雄大な山々に囲まれたチェンマイ、ここは仏教の中心でもあって、美しいお寺がたくさんあります。
チェンライはタイ、ラオス、ミャンマーに囲まれていて、国境を流れるメコン川とルアック川の合流地は絶景です。
※画像提供:タイ国政府観光庁
チェンライから車で行けるカレン族の村も行ってみるといいですよ。
カレン族と言えば、女性が首に何重ものリングを巻いている首長族は有名ですね。
山間に田園が広がる穏やかな村、昔ながらの農作業や織物をする姿も見れるかもしれません。
※画像提供:タイ国政府観光庁
お寺で行ってほしいのは、チェンライにあるワットロンクンです。
タイのお寺は金色に輝いているのが殆どですが、このお寺は真っ白、とにかく美しいお寺です。
この白さはお釈迦様や浄土の清らかさを表しているんですよ。
※画像提供:タイ国政府観光庁
あと、北部のナーン県は知ってますか?
ここは外国人はあまり来ないようですが、タイの人にはとても人気のある場所です。
自然が豊かで空気がきれいなところ。昔ながらのタイの雰囲気が残ってます。
タイにも桜があるのですが、ここではピンクのタイ桜が満開になる季節もあるんですよ。
※画像提供:タイ国政府観光庁
お薦めのタイ料理は?
ゲーンリアンです。
作るのにちょっと手間がかかるのですが、タイの田舎の家庭料理です。
ガピ(エビの調味料)、しょうが、コショウ、唐辛子、赤ネギなどを一緒にすりつぶして味噌にします。
この味噌スープに好きな野菜を何でも入れて下さい。ヘチマ、かぼちゃ、とうもろこし、うり・・。肉は入れません。エビだけです。
少し辛いかもしれませんが、ビタミン、カルシウムが豊富でとってもヘルシーで美味しい料理ですよ。
タイのおすすめ料理ゲーンリアン
先生は日本に来たことはありますか?
ありますよ。何回も行きました。東京、埼玉、千葉・・。
仙台大学で講義をしたこともあります。その時も幼児教育のお話をさせて頂きました。
どんな印象でした?
日本は大好きです。
日本人は思いやりがあって、我慢強いという感じですね。
特に好きなのは交通マナーです。誰もがルールを守って運転してますよね。
タイの運転は乱暴で、日本人はタイで運転するのは怖いんじゃないですか?
日本人がタイで気を付けた方がいいことはありますか?
日本人に気を付けてほしいのは、先ず食べ方です。
日本ではラーメンとかズズーッって大きい音を立てて食べますよね?
あれは「美味しい!」って気持ちを表していると聞きました。
でもタイではどんな料理でも、音を立てて食べるのはマナー違反です。
それとお茶碗やお皿を口に近づけて食べるのもよくありません。
食器はテーブルから離さないで、少しずつスプーンですくって食べて下さい。
食器を持ちあげたらダメですよ。
タイの人と仲良くなるにはどうすればいいですか?
仏様を大切にすることです。
日本もタイも仏教国ですが、タイ人の方が信心深いと思います。
よく車の中で足を投げ出している人がいますね。靴を脱いでいる時もあります。タイ人はやりませんよ。
車の中には、車の仏様がいるのです。車のフロントにはだいたい仏様の置き物やキーホルダーが祀ってあるでしょう。
その仏様に足を向けるのはとても失礼です。
それと前に日本の方とお寺に行った時、本堂でご本尊に向かって足を伸ばして座った人がいました。
これにはさすがに「ダメですよ!」と注意しました。
これはとても失礼な姿です。
服装もそうです。お寺に行くのに肌を露出させてたり、だらしない服装はよくありません。
お寺に行く時は清潔感と品のある服装でお参りして下さい。
タイには色んなところに仏様が祀ってあります。それはお寺だけではありません。
建物の入り口、部屋の中、道路沿い、でも日本人はあまり手を合わせてくれないんです。
仏様に気付いたら手を合わせて下さい。タイ人はそういうところを見てます。
仏様を大切にしている日本人はとても好感が持てますよ。「いい人だな」って思います。
これは日本人がマナーが悪いという意味ではありませんよ。
他の外国人と比べても「日本人がいちばんマナーがいい」って言う人もたくさんいます。
だからこそ、もっとよくなって欲しいと思ってるんです。
日本人とタイ人は、仏教もそうですが、挨拶の仕方や優しさとか、基本的な習慣や性質は似ていると思ってます。
お互いが丁寧に親切に接していれば、自然にもっと仲良くなれるはずです。
これが中国人や韓国人だと全然違いますからね。
タイの若い人の中には、日本人に憧れている人、真似している人もたくさんいます。
「タイの若者が見てる」って、そういうことも意識してもらいたいですね。
タイに来る時は、自然やお寺を見たり、タイの習慣を知って下さい。
そしてタイ人は丁寧で素直、そしてサービス精神が旺盛です。
何よりタイ人の笑顔を見てもらいたいですね!
今回訪問したのは本部があるナコムパトム。
ここには0才から8才までの子供が92人暮らしています。
そして9才になると、カンチャナブリにある「子供の村学園」で生活することになり、ここは110人の子供がいます。
先生は本部のディレクターと同時に子供の村学園の校長。
当日は、まだ生後7カ月という赤ちゃんがいました。この子は生後間もなく路上に捨てられていたのです。
通行人がこの子を見付け、病院に連れて行き、その後ラチャニー先生のもとで引き取ることとなりました。
タイにはまだこうして捨てられてしまう子供が後を絶たないのです。
他にも親が薬物中毒や収監中、経済的理由や病気など、親と暮らせない子供がたくさんいます。
先生は「人間の成長には幼児教育がとても大切、生まれる前、お腹にいる時から愛情いっぱいに育てることが将来の健全な成長に繋がる」という教育方針のもと、60人の子供を育て上げ、卒業させてきました。
先生のもとから育った子たちは、今は公務員、会社員として社会に貢献、同じく子供を支援する養育機関で働いている人もいます。
子供の村学園にはサッカーのカンチャナブリ選抜に選ばれた少年もいて、正に文武両道、健やかに育っています。
タイにはこうした財団、施設があり、そこでは一生懸命に頑張っている子ども達とスタッフがいます。
今後とも応援をよろしくお願い申し上げます。
【ラチャニー・ドンチャイ氏】
バンコク出身。旦那さんも財団の役員、二人の息子さんも職員。
タイの子供財団(FFC)子供の村学園 校長
タイ国福祉分野国家最優秀者(1991年選出)