メークロン線路市場<タイ中央部>


タラート・ロム・フープ

タラート・ロム・フープ

メークロン線路市場は、バンコクから70㎞離れたサムットソンクラーム県の国鉄メークロン駅にある市場です。

車でも1時間30分程度で行けるので、日帰りで十分のコースです。

メークロン線路市場

メークローン線路市場というのは通称で、タイの人々からは「タラート・ロム・フープ(笠を畳む市場)」という名で親しまれています。


150mもの市場には隙間なくお店が敷き詰められていて、歩くのもままならない混雑ぶりです。

賑わうメークロン市場

海外からの観光客も多いですが、実際に買い物をしているのはタイの人々。

活気あるローカル市場で、タイの人々の食卓を見せていただきましょう。

屋外とはいえ、店と日傘、人々で風通しは悪く、圧迫感すらあります。

魚や調味料の匂いが充満した空間で、東南アジアを満喫。

魚が並ぶメークロン市場

そもそもこれだけのお店が集まって市場となったのは、1980年代初旬からです。

当初は数人の商人が線路沿いに小屋を建てたのが始まりでした。

これは東南アジアでよくあるスラムの始まりと同じです。

スラムが大きくなると強制的な退去などがあるものですが、ここは黙認を続けられるうちに住民が増え、そしてこのユニークな市場の姿は、観光地としても名声を上げ、今やその地位を築いているのです。

メークロン市場で果物を売る女性

この市場で最高齢かと思われるご年配の女性のお店を見学させていただくと、「食べてごらん」と、固そうな木の実を割ってくれました。

ご親切に感謝して食べてみると、それはビンロウ、噛みタバコでした。

一口噛むと、口の中の水分が全て吸い取られるような感覚、苦いというか、しびれるというか、とにかくまずくて直ぐに吐き出しました。

ビンロウ、噛みタバコ

口が渋くパサパサになって困っていると、おばあさんは「この甘い果物食べると治るよ。買う?」とオレンジを勧めてくれました。おばあさん、商売が上手です。

メークロン市場でオレンジを勧める女性

その市場は、線路沿いにお店を出してるってレベルではなく、レールにくっつくくらいまで野菜や果物、魚などが陳列されていて、お店の日よけ笠は明らかに電車とぶつかる位置にまで伸びているのです。

ここに実際に電車が通るというのですから、どうやって?と誰もが不思議に思うでしょう。

この市場の見どころは笠を畳む時間。

レールの脇すれすれに食材が置かれ、お店の日よけ笠は電車の通る場所を完全にふさいでいるのですから、畳まなければ電車は通れません。

店の間を電車が通る

メークロン駅とバーンレーン駅間を通る電車は1日8本、6:20、8:30、9:00、11:10、11:30、14:30、15:30、17:40です。

早朝や市場が閉まってからの時間を通る電車を除けば、市場を電車が通るのを見ることができるのは1日6本、せっかくなので市場が最もにぎわう日中の時間帯に行ってみました。

メークロン市場に電車が通る時間

そろそろ電車が来る時間になると、タイ語のアナウンスが流れます。

そして何と日本語でのアナウンスまで流れたのには驚きました。

「電車発着の際は大変危険ですので、赤い線の内側までお下がりください。素敵な旅へ気を付けて行ってらっしゃいませ・・・」これは日本人には嬉しい声です。

メークロン市場の日本語アナウンス

そのアナウンスを合図に、市場の人々が一斉にパタパタと笠を畳み始めるのです。正に笠を畳む市場。

電車に近い方のお店からパタパタ、パタパタ、これは本当にここでしか見れない光景です。

笠を畳み、レール付近にまで陳列していた売り物は、手慣れた様子でお店の中へ撤収。

「まもなく電車が通過します」なんて聞くと、線路を歩いてるこっちは焦ってしまいますが、お店の人はいつも通りの作業なのです。

笠を畳む店員

そして線路上を歩いていた私たちも一斉に非難しないといけません。

ただでさえ歩くのも大変なほど混雑していた場所、そこは優しいタイの人々、「こっち入りな」と魚屋のおばさんがお店の中に入れてくれました。

店の間を通る電車

この距離、自分の顔から数十センチのところを電車が通るのです。スリル満点。

電車はお店にも人にもぶつかることなく、普通に通過していきました。

するとお店の人々は何事もなかったかのように、また売り物をレールの脇に戻し、パタパタと日よけ笠を出して仕事を再開するのです。

顔の数数十センチ前を走る電車

せっかくなので電車にも乗ってみると、車内は清潔感があり、日中でも空いてました。

電車が走りだすと、今度は車窓から笠を畳む様子、たくさん人々が一斉に線路上からいなくなる様子が見れて、上から見る光景も楽しいです。

電車スレスレに避難している人を撮っていたら、下から手が伸びて来てわきの下をくすぐられました。

それほどの近さってことですね。

メークロン市場を通る電車に乗る

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