タイ東北部
ウドーンターニー~イサーン(東北)独特の仏教建築様式が見られる「北の町」
バンコクから北北東へ約560キロメートル、サンスクリット語で「北の町」と名づけられた都市・ウドーンターニー。
タイ東北部ほぼ全域に広がるコラート高原の北側に位置し、農業地帯に囲まれた商業都市の中心地である一方、世界遺産に登録されているバーンチェンをはじめ、数多くの先史時代の遺跡が残るなど、古代からの歴史が刻まれてきた地でもあります。
また、イサーン(東北)独特の仏教建築様式や伝統文化が見られる点も魅力。
隣国ラオスへの入口となるノーンカーイ県がすぐ北にあり、近隣県・国への観光拠点となる街です。
基本情報
位置:バンコクから北北東へ約564キロメートル。
隣国ラオスの首都ビエンチャンへは北に約50キロメートル。
隣接する県:ノーンカーイ、コーンケーン
旅の季節:年間を通じて暖かい気候、11月から2月頃がもっとも涼しく過ごしやすい季節となっています。
行き方
飛行機:スワンナプーム国際空港からウドーンターニー空港行きタイ国際航空(1日3便)、バンコクエアウェイズ(1日2便※2013年11月29日より就航)[所要約1時間]。
鉄道:バンコクのフアランポーン駅から快速/急行列車が1日4本[所要約10時間]。
バス:バンコク北バスターミナル発、5:00から23:00まで約1時間おきに運行[所要時間約9時間]。
県内・市内交通
ウドーンターニー空港から市内やバーンチェン遺跡、プー・プラバート歴史公園などの観光地へは車をチャーターして回るのがおすすめです(1日約1,500バーツ~、ガソリン代別)。
上記の観光地へはバスも運行していますが、最寄りのバス停からバイクタクシーなどに乗り換えが必要となります。
名物・特産品
マークケン村の竹かご、素焼きの器(バーンチェン焼き)、イサーン・ソーセージなど。
注意事項
遺跡や寺院を訪ねる際、露出度の高い服装を避けてください。
仏像を触ったり、上って写真撮影したりすることは厳禁です。
主要連絡先
ツーリストポリス
外国人観光旅行者の安全を図るために、ツーリストポリスが特別に設けられており、「Tourist Police」と言う肩章をつけています。
観光地にはツーリストポリス警察署や派出所が設けてあり、英語を話すことができますので、トラブルが発生した場合は連絡をしましょう。
ツーリストポリスセンター 局番無し:1155
タイ国政府観光庁
ウドーンターニー・オフィス
16/5 Mukmontri Rd., Amphoe Muang, Udon Thani 41000
TEL:(042)325-406 FAX:(042)325-408
病院
Aekudon International Hospital(エークウドーン・インターナショナル病院)
555/5 Posri Rd., Amphoe Muang
TEL: (042) 342-555 タイ語・英語
先史時代の美しい土器の数々
[ノーンハーン]
ウドーンターニー市内から東へ約50キロメートル、紀元前3600年頃から紀元後3世紀にかけての集落跡とされているバンチェン遺跡。
世界史上でも比較的早期の農耕文明を持ち、発達した製陶技術、青銅器の使用などがうかがわれ、そのため東南アジアでもっとも重要な先史時代の遺跡として、1992年には世界遺産にも登録されました。
出土品を見ると、鮮やかな紋様が施された優美なかたちの土器が特徴的で、バンチェン国立博物館では、3期からなる発展の歴史などを学ぶことができます。
また、周辺のカム・オウ村では、陶土の周囲を人がまわって土器を形成する当時の技法が現代にも伝えられており、名産品として知られています。
歴史を刻む神秘的な奇岩群[バーンプー]
数百万年前の氷河や風雨の浸食によってできた奇岩群で知られるプー・プラ・バート歴史公園。
不思議なバランスで折り重なる巨大な岩々は、先史時代に人々の住居として利用され、岩肌には当時の壁画や人々の手形などが残っています。
またプー(山)、プラバート(聖足跡)という名にもあるように、9〜11世紀には仏教の祭事を執り行う場としても使われ、風化した仏像や巨岩を取り囲んで立つ結界石などが、神秘的な雰囲気を醸しています。
12キロメートル南方にある小さな寺院、ワット・プラタート・プラ・プッタバート・ブアボックには、仏足石が奉られています。
多彩な表情を見せる仏教建築
[バーンプー/クンパワピー]
6世紀〜9世紀にかけてタイ中北部を支配していた、ドヴァーラヴァディー王国の衛星都市として栄えたウドーンターニーは、その後のクメール王朝による支配、またはラオスからの移住者などによって様々な文化的影響を受けてきました。
プー・プラバート歴史公園内のワット・プラ・プッタバート・ブアバーンそしてワット・プラタート・プラ・プッタバート・ブアボックには、白く塗り固められた表面にハスの花などのレリーフが施された、方形で平面的な造形の仏塔、プラ・タートがあります。
これらの16世紀〜18世紀頃に建立された仏塔はランサーン王国(ラオス)の影響を色濃く受けたイサーン様式の仏教寺院の特徴で、ナコーンパノムをはじめとするタイ東北地方の街でよく見られます。
本場のイサーン料理をどうぞ
[ウドーンターニーの食文化]
タイ全国で人気を誇るイサーン(東北)料理。
定番のタイ料理と比べて、よりスパイシーながら素朴な味わいで、ラオス料理との共通点が多いことが特徴です。
香ばしいガイヤーン(イサーン風焼き鳥)をはじめ、細切りの青パパイヤにいんげんやピーナッツ、トマトなどを加え、甘味・辛味・酸味で味つけしたソムタム、炒めた牛挽肉などにハーブを和えたラープ、発酵したお米の酸味がアクセントとなっているサイクローク・イサーン(イサーン・ソーセージ)、餅米を蒸したカオニャオ。
ウドーンターニーではその本場の味を楽しむことができます。
ナコーンラーチャシーマー(コラート)
~世界自然遺産カオヤイ公園の森林と野生動物
バンコクから北東へ約259キロメートル、タイ東北地方(イサーン)最大の都市にしてその玄関口に位置するナコーンラーチャシーマー(通称コラート)は、イサーン地方ならではの人々の温かみ、のどかな風景、辛くておいしい料理を楽しむことができる街です。
また周辺は奥深い歴史を有する地域としても知られ、ピマーイやパノムワンなどクメール王朝(現在のカンボジア)時代の貴重な遺跡群、バーン・プラサートで発掘された先史時代の墳墓などが有名。
一方、世界自然遺産・カオヤイ国立公園の豊かな森林が広がる県西部は、数々の美しい滝や、象、サンバーシカ、ホエジカといった野生動物、サイチョウなど希少な野鳥が見られ、トレッキングやバード・ウォッチングなどにおすすめです。
近年は公園へのアクセスに便利なパークチョン市にもリゾートホテルやゴルフ場、観光牧場やワイナリーなどがつくられ、注目されています。
また、パックトンチャイ・シルク村、ダーン・クイアン陶器村などでつくられる伝統工芸品も人気です。
基本情報
位置:バンコクから東北へ約259キロメートル
隣接する県:コーンケーン、ナコーンナーヨック、ブリーラム、チャイヤプーム、ロッブリー、サラブリー、サケーオ
旅の季節:滝遊びは6月〜10月、ワイナリーは気温が下がる2月ごろ、カオヤイ国立公園でのトレッキングも気温が最も下がる11月〜2月ごろがベストシーズン。
行き方
バンコクからナコーンラーチャシーマーへ
鉄道:バンコクのフアランポーン駅から各駅/快速/急行列車が1日12本[急行で所要約4時間半]。
バス:バンコク北バスターミナル発、24時間、約30分間おきに運行[所要時間約4時間半]。
県内・市内交通
コラート市内は路線バス、ソンテウ、トゥクトゥク、人力車が往来しています。
バーン・プラサートやピマーイ、ダーン・クイアンへはナコーンラーチャシーマー市内の第2バスターミナル、パックトンチャイへは第1バスターミナルより路線バスが日中に出ています。
名物・特産品
タイシルク、焼き物、ぶどう、ワイン、ガイヤーン(イサーン風焼き鳥)、ミー・コラート(イサーンのパッタイ)、トウモロコシ、カスタードアップル(ノーイナー)
主要連絡先
ツーリストポリス
外国人観光旅行者の安全を図るために、ツーリストポリスが特別に設けられており、「Tourist Police」と言う肩章をつけています。
観光地にはツーリストポリス警察署や派出所が設けてあり、英語を話すことができますので、トラブルが発生した場合は連絡をしましょう。
ツーリストポリスセンター 局番無し:1155
タイ国政府観光庁
ナコーンラーチャシーマー・オフィス(ナコーンラーチャシーマー、チャイヤプーム)
2102-2104 Mittraphap Rd., Tambon Nai muang,Amphone Muang, Nakhon Ratchasima30000
TEL: (044)213-030 FAX:(044)213-666
病院
バンコク・ラーチャシーマ-病院
Bangkok Nakhon Ratchasima HospitalMittrapag., Nai Muang
TEL:(044) 429-999
クメール王朝をつなぐ遺跡群
[市内/ピマーイ]
コラート市内から北東へ約60キロメートル、タイ最大のクメール遺跡が残るピマーイ歴史公園。
もともとピマーイは北東部に流れるムーン川により先史時代から発展した町でしたが、11〜12世紀ごろタイ東北部一帯に勢力を拡大したクメール王朝により、石造神殿が建設されました。
堀に囲まれた565メートル×1,030メートルという大規模な敷地、正面が南のクメールの王都に向いていたことなどから、当時タイ東北部に点在していた小国家とクメール王朝をつなぐ宗教的な結節点だったと考えられています。
遺跡で発掘されたジャヤーヴァルマン7世の像や古代クメール美術品などは、ピマーイ市内の国立博物館で見ることができます。
毎年11月、遺跡を舞台にした壮大な光りと音のショーやボートレースなどが行われるピマーイ・フェスティバルも見どころのひとつ。
ちなみに、コラート市内にはピマーイ遺跡と同時代のパノムワン遺跡などもあり、クメール王朝がかつてこの一帯を支配していたことを改めてうかがい知ることができます。
野生動物と野鳥の宝庫へ[カオヤイ国立公園]
県西部には、ユネスコの世界自然遺産として指定された、総面積約2,168平方キロメートルを誇るカオヤイ国立公園が広がります。
園内は高低差約20メートルのヘーウ・ナロックをはじめ、ヘーウ・スワット、パー・クルアイマーイなど数多くの滝によるダイナミックな景観や、また豊かな森林を背景に野生の象やトラ、サンバー、ホエジカなど67種類以上の哺乳類動物、希少なサイチョウやジアリドリなどを含む320種以上の鳥類、東南アジアならではの美しい蝶など約216種以上の昆虫類が生息していることで有名。
トレッキングはもちろん、近年では日本からも野生動物の観察の愛好家によるエコツアーが訪れるようになりました(気候のよい12月〜2月ごろがおすすめ)。
公園管理事務所が主催するナイトサファリも人気で、宿泊施設も完備されています(要予約)。
美しい自然を臨みながらのゴルフ・リゾート
[カオヤイ国立公園]
バンコクより車で約3時間、平均気温が23度のカオヤイ国立公園。
その麓には近年ゴルフ・リゾートが整備され、自然な地理を生かした難易度の高いコースから初心者向けのコースまで、美しい自然を臨みながらプレイを楽しむことができます。
キリマヤ・ゴルフリゾート&スパは、プロゴルファーのジャック・ニクラウス氏によって設計されたダイナミックな18ホールで、高級な宿泊施設やスパにも定評があり、まさにカオヤイを代表する格式高いゴルフ・リゾートそのもの。
フォレストヒルズ・カントリークラブは、勾配のあるレイアウトでゴルファーの挑戦心を駆り立てる設計。
ウェスタンスタイルのクラブハウスが特徴のボナンザ・ゴルフ&カントリークラブも勾配のあるレイアウトで、宿泊施設も完備されています。
ワイナリーに牧場など農業観光が楽しめる
[パークチョン]
カオヤイ国立公園に隣接する標高約300メートルの高原地帯・パークチョンでは、その昼夜の寒暖差や水はけの良い土地といったぶどう栽培に適した条件を活かし、1990年ごろから2軒のワイナリーのもとでワインが醸造されるようになりました。
広大な敷地を持つPBバレー・カオヤイ・ワイナリー産のワイン2種類は、2006年にイタリアの品評会で銀賞、翌2007年のオーストラリアで品評会でも金賞と、相次いで高い評価を受けています。
一方、グランモンテ・アソーク・バレーは、家族経営のこじんまりとした敷地をもち、手入れの行き届いた美しいぶどう畑が評判。
どちらも、ぶどう畑を眺めながらワインと食事を楽しめるレストラン、閑静な宿泊施設などが用意され、ワイン好きな方におすすめです。
近くのアジア最大の酪農牧場・チョクチャイファームでは、搾乳などの酪農体験や、アニマルショー、乗馬などを楽しめるファームツアーも。
場内のレストランではステーキやフレッシュミルクを使ったアイスクリームが人気で、週末にはバンコクなどからの家族連れで賑わいます。
※資料・画像:提供 タイ国政府観光庁